記憶の汀

~大学図書館司書のとりとめのない日々のこと~

『知音』2021年3月号から

みなさまこんばんは。

早いもので気が付けば3月もおしまいです。

取り急ぎメモしておきます。

 

掌にぬくめてホットレモンの香(吉田しづ子)

話すことなくても愉し暖炉燃ゆ(前田星子)

教室の隅の一人の日向ぼこ(小倉京佳)

行く年や流れゆくもの見つめゐて(笠原みわ子)

手袋の記憶残りし別れかな(岩本隼人)

淋しさにまた振り返る冬桜(平手るい)

古書街の日曜静か木の葉散る(小池博美)

布団干すお日さまといふ良き言葉(佐藤二葉)

光芒となり白鳥の舞ひ降りぬ(鏡味味千代)

風花といふ美しき言葉かな(田中優美子)

思ひ出のやうに咲きゐて帰り花(関 さくら)

一日をよく働いて柚子湯かな(池田文枝

かに玉のふつくら焼けて小春かな(伊丹妙子)