記憶の汀

~大学図書館司書のとりとめのない日々のこと~

L.V. ベートーヴェン『音楽ノート』

みなさまこんにちは。

だんだんと暖かくなってきましたね。

 

引っ越し前、通勤途中にある木蓮(もくれん)のつぼみがふくらんできていました。

毎年見ていましたが、今年も3月下旬ころに白くてやさしい花が咲くでしょう。

むらさき色の花を咲かせる紫木蓮(しもくれん)も好きです。

 

「もくれんの花のひかりの咲きあふれ」(長谷川素逝)

 

空に向かって花が上向きに開くようにして咲くんですよね。その姿は、春のひかりを喜んでいるかのようです。

 

※     ※     ※

 

昨日、住んでいる地域で最大級といわれる書店に行ってきました。ほんと、品揃えは抜群でした。

 

下記の4冊を購入しました。

谷川俊太郎『詩を書く―なぜ私は詩をつくるか』(詩の森文庫)

来嶋靖生『作歌相談室』(現代短歌社新書)

若松英輔『詩集 燃える水滴』(亜紀書房

L.V. ベートーヴェン『音楽ノート』(岩波文庫 青 501-2)

 

ベートーヴェン『音楽ノート』は、学生時代に古本屋で買って読んでずっと印象に残っている本でした。

その後、手放してしまったので時折書店で探していたのですが、全然見当たらない。

長らく絶版だったようです。そして今回、2020年に刷られた本を手に入れることができました。よかったー。

 

みなさんはクラシック音楽を聴きますか?

私はクラシックの秩序ある音楽性が好きです。

ベートーヴェンの曲では、月光・悲愴・熱情・テンペストなどをよく聴きます。

 

彼の音楽ノートには、自らを叱咤激励、鼓舞する章句が多くみられます。

「毎朝五時半から朝食まで勉強すること!」

「おまえの芸術にのみ生きよ!今はおまえは(耳の)感覚のために大きい制約を受けているが、これがおまえにとって、唯一つの生き方なのだ」

「静穏と自由は最大の富だ」

「相似た性質の結びつきのうえにこそ真の友情は築かれる」

「愚鈍と貧困はつねに車の両輪の如くである」

「もう一度おまえの芸術のために、社会生活の些事をすべて犠牲にせよ!ああ、万事をしろしめす神!永遠を予見するもの。朽ちて死すべき人間の幸運悲運皆知れり」

「魂の結びつきのない肉の楽しみは獣的なものにすぎぬ。あとに気高い感情のあとかたもなく、むしろ悔恨がのこる」

「愛だけが--しかり、愛だけが、おまえに最も幸福な生活を与えることができる。--ああ、神よ、わたしの徳性をかためてくれる女性を、わたしのものとして与えられた女性を、最後に見させたまえ」

 

ベートーヴェンの境涯を知ってから曲を聴くと、また違った印象を持つかもしれませんね。