記憶の汀

~大学図書館司書のとりとめのない日々のこと~

司書:児童サービス論(レポート)〔司書12〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「児童サービス論」レポートについて書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

近年の子どもの読書離れについて述べ、図書館司書として児童サービス(ヤングアダルトを含む)をどのように取り組んでいけばよいか、また図書館は関係機関等とどのように連携・協力し、児童サービスを進めていけばよいかを述べてください。

 

<作成のポイント>

私が受講していた頃は、レポートの合格が難しいと言われていた科目です。まず、設問の構成をわかりやすいように分解して確認してみましょう。

①近年の子どもの読書離れについて述べる

②図書館司書として児童サービスをどのように取り組んでいけばよいか?

③図書館は関係機関等とどのように連携・協力し、児童サービスを進めていけばよいか?

①~③の項目にそれぞれ十分な論述をしなければ合格は難しいと思われます。テキストを丹念に読み込んで、内容を理解しましょう。そして、必要に応じて参考文献を織り交ぜながら回答を作成すればよいでしょう。作成のポイントは至ってシンプルですが、出題者の意図を汲み取り、正確に要求にこたえるように意識することが肝要です。

 

<レポート>

 本レポートでは所与の設題に沿って記述する。

 

1.近年の子どもの読書離れについて

 読書離れが社会的課題となっている。その背景には、子どもの育つ道筋の異変がある。すなわち、身の回りの自然や風景、暮らしの方法、日常生活の様式、遊び、文化、労働、家庭、地域、学校、コミュニケーション手段等、我々を取り巻くほとんどのものが戦後70年余の間に一変したのである。その歪みは、言葉の獲得や読書の基盤となる生活体験のところで「子どもの育ちそびれ」現象として現れている。そしてそれは体や心の面の未熟さとなって現れ、例えば学級崩壊や、現代の様々な事件やトラブルにも関係している可能性がある。

赤ちゃんは耳から音を聞いて反応することで、言葉を覚えていく。言葉を一定のルールで記号化したものが文字で、その連なった物が文章となる。その文章を読んでいくのが読書である。そのため、文字の獲得、習得なくして読書は成り立たない。文字の獲得のためには言葉が必要で、その言葉は日々の暮らしの中で培われる。この日々の暮らしの中に、現代では映像メディアが大きく入り込んでいる。

読書離れの原因は、以下の4つに大別される。

・個人的な要因:言葉の獲得、生活体験、TVゲーム等の遊びの変化、精神的ゆとり、習いごと、学習塾、時間のなさ、など

・家庭の要因:少子化核家族、家庭での読書環境、読んでもらう、親の読書意欲と姿勢、働く親と子どもの関係、など

・社会的要因:テレビなど映像メディアの急激な発達と映像文化の肥大、公的読書施設の不足、読書観の変化、出版・流通上の問題、文庫活動・読書運動、優れた子どもの本の書き手と作品、など

・学校教育の要因:戦後の学校教育のあり方、週休二日制の実施とゆとりの時間、読書教育、学校図書館の不備、教師など

読書離れは上記のような様々な要因によって引き起こされており、読書の効能のひとつである“言葉の獲得”の側面から考えても、読書離れは憂慮すべき事態である。

 

2.図書館司書としての児童サービスの取り組みについて

 児童サービスとは、子どもに読書の喜びを知ってもらうことを目的とする公共図書館の活動のひとつである。子どもと本を結びつけ、子どもが読書の楽しみを知り、それが子供に定着するようすすめ励ます様々な活動や工夫等を指す。児童サービスには、読書を通して子どもが他者を知り、社会の存在に気がつくという働きや公共性の理解などの社会的な意義を内包している。

児童サービスは、本を主とした直接活動と、子どもと本をつなげる間接的な活動の2種類に大別される。

 まず、直接活動とは、子どもと直接に接して、本を使って、読書につなげたり、調べたりする働きである。具体的にはフロアワーク、読み聞かせ、ストーリーテリング、ブックトーク、アニマシオン、レファレンス、読書案内、行事・文化集会活動、乳幼児サービス等があり、一定の技術や能力が必要となる。例えば、ブックトークとは、テーマを設定して複数の本を口頭で説明し、紹介した本を読んでみようと思わせる活動である。児童サービスとしてのブックトークは、対象は子どもだけではなく、子どもに読む絵本を紹介してほしい親や学校で読み聞かせする本を探しているボランティア、読書教育に取り組んでいる教師などさまである。[1]

 次に、間接的な活動とは、子どもが読書という行為につながるように条件整備や環境整備を含むいろいろな働きかけを行うことである。例えば、子どもが目的の本を自分で探せるように資料の組織化や分類をしたうえで配架を行ったり、展示・掲示やブックリストの作成等で本の紹介を行ったりする。

また、ヤングアダルトサービスとは、おおよそ13歳から18歳を対象として、読書を生活の中に定着させ、読書がもたらす効用によって各人の自立を支援するサービスである。例えば、ヤングアダルト・スペースの設営やブックトーク・読書サロン等のヤング向け活動プログラム等がある。なお、ヤングアダルトサービスの担当者を専任ではなく兼任にする場合は、成人向け資料情報への移行を促すことが多々起るため、成人資料の担当者が望ましいという考え方がある。[2]

 

3.関係機関等との連携・協力について

 公共図書館は子どもに本を手渡すために、積極的に地域の子どものいる施設と連携・協力をする。これは、子どもの読書活動を推進するだけではなく、地域の人たちに公共図書館を知ってもらう機会にもなっている。

子どもと本の出会いの場を少しでも増やすためにも、地域の施設との連携・協力が欠かせない。

 具体的な連携・協力施設として、子どもたちの通う学校がある。図書館法に規定されているように、公共図書館学校図書館と緊密な連携をとる必要があり、調べ学習の援助や資料の団体貸出、図書館および学校訪問、教員へのサポート等を行う。例えば、調べ学習の定着により、学校図書館の資料の必要性は高まっているが、地域資料などの整備が不十分の場合も多く、公共図書館がバックアップする必要がある。その際、地域資料は市販されていないものも多い点、子どもたちの理解度に合わせて書かれているものは少ない点、どこでどのような資料が作成・発行されているのかも把握しづらい点を念頭に、子どもが調べ学習をスムーズに行うことができるように配慮が必要である。[3]

また、学校以外の施設では、保育園や幼稚園、児童館、保健所、病院、文庫、学童保育、障害者施設など様々な施設があり、それぞれが図書館と連携を図る必要がある。例えば、保健所は乳幼児から、就学前の子どもは保育園・幼稚園から、必要に応じて団体貸出を行ったり、選書のための情報の提供や読み聞かせに出向いたり等の連携が考えられる。また、長く入院生活をおくる子どもに貸出サービスを行う場合や、障害を持つ子ども、読書に対して何らかの不自由さを抱える子どもにも、利用しやすいサービスを提供することも連携のひとつである。さらに、家庭への働きかけやボランティアの協力も、全ての子どもが本と出会い、読書の楽しみを味わう機会を増やすために重要な活動である。

 

<参考文献> ※出版年順

石井 桃子著『子どもの図書館』岩波書店・1989年

堀川 照代編著『児童サービス論』日本図書館協会・2009年

日本図書館協会児童青少年委員会児童図書館サービス編集委員会編『児童図書館サービス1』日本図書館協会・2011年

 

<参考箇所>

[1]日本図書館協会児童青少年委員会児童図書館サービス編集委員会編『児童図書館サービス1』(日本図書館協会・2011年)p149

[2]堀川 照代編著『児童サービス論』(日本図書館協会・2009年)p127-p128

[3]堀川 照代編著『児童サービス論』(日本図書館協会・2009年)p143

 

 

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司書:情報サービス論(レポート)〔司書11〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「情報サービス論」レポートについて書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

学校図書館の利用教育の指導内容を挙げ、それぞれについて述べるとともに、

②「図書館利用教育ガイドライン-学校図書館(高等学校)」を参照(日本図書館協会ホームページの「委員会」の利用教育委員会にて全文公開。冊子は「参考書の紹介」参照)し、利用教育の手段はどうあるべきか、貴方自身の考え方を含め、論じてください。

 

<作成のポイント>

・設問が①と②の大きく2つに分かれています。テキストや参考文献を参照することで、比較的スムーズに論述できると思います。②に関しては、利用教育の手段について自分の考えを展開する必要がありますので、テキスト等を読みながら考えをあたためておきましょう。参考文献が豊富なのでさほど困ることはないと思います。

 

<解答>

 本レポートでは所与の設題に沿って記述する。

 

1.学校図書館の利用教育の指導内容について

 近年の情報化社会は情報洪水の様相を呈しており、いかに適切な情報を効率よく入手できるかが重要になっている。そこで学校図書館においても、資料を利用する際に必須となる基礎知識や技術を生徒児童に学習させる利用教育が求められている。文部科学省が1983年に刊行した「小学校・中学校における学校図書館の利用と指導」において、おおよそ次のように示されている。

 ・図書館資料の種類や構成を知ったうえで利用する。

 ・図鑑、辞典、年鑑等の利用に慣れる。

 ・資料の収集、記録、まとめ、伝達、保管のそれぞれを適切に行う。

 ・読書習慣を身につけるとともに、読書に関する集団活動にも進んで参加する。

 また、全国学図書館協議会SLA)は、学校図書館における利用指導について、「学習と情報・メディア」・「学習に役立つメディアの使い方」・「情報の活用の仕方」・「学習結果のまとめ方」の4区分とする『情報・メディアを活用する学び方の指導体系表』を2004年に公表した。

 卒業後に情報化社会へ飛び込んでいくはずの大学生が、館内資料の探し方等の基本事項を知らない者が多く、これは塾や学習参考書に依存した受験勉強しか知らず、本当の意味で「学び方」を教育できていないことに起因するという指摘【注1】もある。上述の利用者教育の重要性が痛感させられる。インターネット検索の時代だからこそ、学校図書館が中心となって「文献検索法」等を習得させなければならない。

 

2.図書館利用教育ガイドライン

1998年の『図書館利用教育ガイドライン学校図書館(高等学校)版』にて、高等学校の図書館における情報教育の指針が提示された。その教育目標は次の通りである【注2】。

領域1:印象づけ(情報ニーズを満たすために利用しようという意識を持たせる)

領域2:サービス案内(施設、設備、職員の支援を知ってもらい、利用につなげる)

領域3:情報探索法指導(情報の特性を理解させ、情報源の探し方と使い方を指導する)

領域4:情報整理法指導(メディアの特性に応じた情報の取り扱い方法を理解させる)

領域5:情報表現法指導(メディアの特性と使用方法を知るとともに、情報倫理を理解させる)

そしてその指導方法について、図書館と教科の協力の有無との観点から次の3段階が紹介されている。

 Ⓐ関連なし(図書館単独で実施可能)

 Ⓑ関連あり(図書館と教科の協力で実施)

 Ⓒ統合(図書館と教科が共通の体系的な情報教育カリキュラムを持ち、分担で指導を実施)

 なお、現状では総合的な情報教育カリキュラムは未完成で、統合の段階は到達目標であり、現在多くの学校図書館で実施されている資料を用いた調べ学習はⒷ段階である。

 

3.利用教育の手段はどうあるべきか

 先述のガイドライン(高等学校)を踏まえて、高等学校における利用者教育の手段について私見を交えながら具体例を提示する。なお、「実践から『学校図書館の教育力』を考える<アンケート集計>」を参照した【注3】。

領域1では、新学期に全生徒へ図書館利用案内の配布等を行い、学校図書館の存在をアピールする。教科授業との関連はない(Ⓐ)。

領域2では、新入生を対象に4月頃、ホームルーム等の時間を使ってクラス毎に図書館のオリエンテーションを実施する。ここで専門職員の支援を得られる場が図書館であると認識させる。こちらも教科授業との関連はない(Ⓐ)。

領域3~5では、教科授業と関連する(Ⓑ)一連のプログラムを考えた。まず領域3として、夏休み等に特定の課題を与え、学校図書館は勿論、必要に応じて近隣の博物館等の類縁機関も紹介しながら、実際に情報探索を行ってもらう。3~5人程度のグループを作ってもよいだろう。具体的な課題としては、たとえば地歴公民で地域にゆかりのある史跡の調査等である。平時は生徒・教員ともに日々の授業や部活動に追われがちであるため、長期休暇を利用することが現実的であると考えた。次に、領域4では、生徒が調査で収集した情報について整理・加工法・保存法を休暇明けの通常授業の1コマを使って、図書館職員を招いてレクチャーする。単なる講習会ではなく、自分が調査した結果の取扱方法であるため、具体的であり理解が深まると思われる。最後に、領域5であるが、調査結果の発表会を行う。こちらも図書館職員と連携して発表に用いる各種メディアの特性や使用法を指導したうえで、ポスターやスライド発表など、生徒自身に自分の最適な情報表現を決定させる。それと同時に著作権やプライバシー等の情報倫理についても併せて指導する。

以上、ガイドラインが示した情報教育の指針に基づきながら、私自身の高校生活で欠けていた情報教育を回顧しつつ具体的な利用教育の手段を考えてみた。今回、真に効果のある情報教育を行うならば、学校図書館と教科教員の友好的な関係が土台になるということを痛感した。高校生のうちに上記のような情報教育を受けていれば、大学へ進学した際にも勉強や研究への橋渡しにもなるだろう。

 

【参考文献】※出版年順

丸本郁子他『大学図書館の利用者教育』日本図書館協会(1989年)

図書館利用教育委員会『図書館利用教育ガイドライン(合冊版)』(2001年)

図書館利用教育委員会情報リテラシー教育の実践』日本図書館協会(2010年)

塩見昇『学校図書館の教育力を活かす』日本図書館協会(2016年)

 

【引用箇所の明示】

注1・・・丸本郁子他『大学図書館の利用者教育』日本図書館協会 p13

注2・・・図書館利用教育委員会『図書館利用教育ガイドライン(合冊版)』p22-p25

注3・・・塩見昇『学校図書館の教育力を活かす』日本図書館協会 p166-p173

 

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司書:図書館情報資源特論(レポート)〔司書10〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館情報資源特論」レポートについて書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

灰色文献とは何か、灰色文献の定義や意義、特徴について記述せよ。また、灰色文献といわれる具体的な資料名を挙げて、その資料の特徴についても説明せよ。

 

<レポート>

本稿では、所与の設題に沿って記述する。

1.灰色文献の定義・意義・特性について

 灰色文献とは、『最新 図書館用語大辞典』によると、「流通経路が不明確で、通常の出版物のルートにのらず、入手が難しい資料の総称」であるとし、「国家機密文書、公開不可等の規制を受けている情報(black)に対して、誰にでも入手方法が明らかにされて入手が容易である情報(white)と対比され、両者の中間に位置づけられるところから『gray literature』といわれる」と定義している【註1】。灰色文献の種類としては、政府刊行物地方自治体が作成した資料・民間のシンクタンク等が作成した報告書・学位論文・会議録などがある。

また、現在はインターネットで公開されている文献も多くなり、灰色文献の定義も変化しつつあるという指摘がある【註2】。この観点から灰色文献の定義を再考する際には、池田(2012)の論文が有効である。池田は、現在最も一般的とされる灰色文献の定義とは、「紙や電子フォーマットで、政府、大学、ビジネス、産業のあらゆるレベルにおいて生み出されるもので、商業出版社によってコントロールされない」「すなわち、主たる活動が出版を本業としない組織によってコントロールされている」文献としている【註3】。これは、灰色文献国際会議の場で議論が行われたニューヨーク・ルクセンブルク定義である。そしてこの定義によると、灰色文献の種類は100を超えるという。

なお、インターネットで公開される文献について補足をすれば、原理的にはネット回線さえあれば閲覧可能であるため、モノとしての物理的な入手困難な度合に関しては、従来の紙媒体の文献に比べて大幅に低下したと言える。しかし、インターネット上の情報源を知らなければ、そもそも存在しない文献となってしまい、結果としてアクセスは不可能となる。また、情報が氾濫している今日、サーチエンジンを使って必要とする文献を的確に検索することはそれほど容易なことではない。よって、このような困難さがあるゆえに、インターネット上に公開されていれば灰色文献ではないと一概に言い切ることはできないだろう。このように一般の図書館利用者にとってまだまだアクセスが難しく、政府刊行物自治体作成の資料など重要な一次資料を含んでいる灰色文献について、情報公開や知る権利の保障および民主主義の確立という観点からも、図書館が積極的に広く収集して提供することは大きな意義を有するものと考える。

 

2.灰色文献の具体的な資料の特徴について

 ここからは先に述べた灰色文献の具体的な資料の特徴について述べる。灰色文献として以下の資料がある。

政府刊行物

  国の立法・行政・司法の諸機関が公に刊行した資料を指す。形態としては、図書・雑誌・パンフレットなどの紙資料の他に、パッケージ系のCD-ROMやDVD、さらにはインターネット上のデジタル資料(例:日本統計年鑑)がある。政府刊行物は、政府の方針や行動、また国全体の動向を知るための貴重な一次資料であり、先述のとおり広く国民の目に触れるようにするために図書館資料として提供する必要がある。

地方自治体が作成した資料

 地方自治体による資料も政府刊行物と同様で、近年はインターネット上のデジタル資料として閲覧が可能な場合が多い。しかし、過去の資料は紙資料であるため、通常は従来どおり図書館等にて閲覧することになる。たとえば、筆者が居住する相模原市では、市が行っている各種調査(人口・防災・福祉・健康・教育など)の結果をインターネット上に公開している【註4】。

③民間のシンクタンク、調査研究機関などが作成・発行したプロジェクトレポートや市場調査報告書

 これらの資料は、市場に流通させることを必ずしも目的とはしていないため、インターネット上に公開されていたとしても、アクセスが容易とは言えないだろう。たとえば、独立行政法人 国際協力機構では、過去の国際開発ジャーナル誌や月刊石垣誌に掲載された事例・記事、調査報告書などを閲覧することができる【註5】。

④学位論文

 学位論文は本来流通を目的としていないため、資料価値が非常に高い反面、一般的には入手が困難である。

なお、従来、博士論文は国立国会図書館へ送付していたが、平成25年の学位規則改正により、学術機関リポジトリとしてインターネット上に公開することとなった。原則として全文を公開するが、著作権等の問題により公開を見送るケースもある【註6】。

⑤会議録

 会議録とは、学会などの会議の正式な記録をまとめたもので、一般的には参加者のみに配布されるため入手が困難である。近年はインターネット上の公開が進んでおり、たとえば国会における委員会会議録は国会会議録検索システムで全文検索が可能となっている【註7】。しかし、学会の会議録などは近年、印刷刊行されることのない情報を会員のみ対象としたインターネットで流すこともあり、速報性はますます高まっているが、一般にはさらに入手が困難になっている場合もある【註8】。

 

<参考箇所の明示>

註1:図書館用語辞典編集委員会編『最新 図書館用語大辞典』p456-p457

註2:日本図書館協会用語委員会編『図書館用語集 四訂版』p249

註3:池田貴儀著「問題提起:灰色文献定義の再考」p50-p54

註4:相模原市ホームページ「統計・調査資料」

註5:独立行政法人 国際協力機構ホームページ「事例・参考情報」

註6:国立国会図書館ホームページ「国内博士論文の収集」

註7:国会会議録検索システム

註8:図書館用語辞典編集委員会編『最新 図書館用語大辞典』p40

 

<参考文献など> ※出版年順(ホームページを除く)

図書館用語辞典編集委員会編『最新 図書館用語大辞典』柏書房株式会社・2004年

高山正也、平野英俊編『図書館情報資源概論』樹村房・2012年

日本図書館協会用語委員会編『図書館用語集 四訂版』日本図書館協会・2013年

日本図書館情報学会 用語辞典編集委員会編『図書館情報学用語辞典 第4版』丸善株式会社・2013年

池田貴儀著「問題提起:灰色文献定義の再考」・『情報の科学と技術』所収・情報科学技術協会・2012年

URL: https://jopss.jaea.go.jp/pdfdata/AA2011-0802.pdf(最終アクセス:2019年3月21日)。

相模原市ホームページ「統計・調査資料」

URL:http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/investigation/index.html(最終アクセス:2019年3月21日)

独立行政法人 国際協力機構ホームページ「事例・参考情報」

URL:https://www.jica.go.jp/priv_partner/case/index.html(最終アクセス:2019年3月21日)

国立国会図書館ホームページ「国内博士論文の収集」URL:https://www.ndl.go.jp/jp/collect/hakuron/index.html(最終アクセス:2019年3月21日)

国会会議録検索システムURL:http://kokkai.ndl.go.jp/(最終アクセス:2019年3月21日)

 

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司書:図書館サービス特論(レポート)〔司書9〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館サービス特論」レポートについて書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

身近にある公共図書館を実際に観察し、その図書館で行われている課題解決支援サービスの内容・特徴を述べると共に、設置されている地域の課題を考えると他にどのようなサービスが実現可能か具体的に提示しなさい。

 

<作成のポイント>

・まずレポートで取り上げる身近な公共図書館を選ぶ → 自分がふだん利用している市区町村立の図書館でよいでしょう。自分が実際に利用していることがポイントになります。

・選んだ図書館で行われている課題解決支援サービスの内容・特徴を述べる → 実際に図書館を訪れてどのような取り組みが行われているか確認しましょう。新たな気付きを得られるかもしれないので、司書の方に質問をしてみるのも良いと思います。

・地域の課題を探る → 図書館が設置されている自治体が抱えている課題について調べましょう。市区町村のホームページや会報などの媒体が有効です。根拠データが不明の場合は、再提出になることがあります。客観的な根拠を収集し、分析を加えていきましょう。

・実現可能なサービスを具体的に述べる → テキストに記載されている課題解決支援サービス(ビジネス支援、地場産業支援、健康・医療情報提供など)を参考に、自分が選んだ図書館が取り組むことのできるサービスを挙げましょう。

 

<レポート>

 本レポートでは、筆者の身近にある○○市立○○図書館について訪問調査し、○○図書館で行われている課題解決支援サービスの特徴を述べるとともに、さらに実現可能な新たなサービスについて私見を述べる。

 

1.課題解決支援サービス

○○図書館は、○○県○○市に設置されている4つの公共図書館のうちのひとつである。かつて4つの図書館はそれぞれ特色ある資料収集を行い、各々の課題解決支援サービスに繋げていた時期がある。従来から○○図書館は、児童書の収集に力を入れていた[1]。そして現在もその流れを汲んで、○○図書館は児童サービスを課題解決支援サービスの主軸としている。なお、20○○年○○月○○日~同年○○月○○日に○○市立図書館・○○図書館・○○図書館の窓口を訪れた利用者を対象に実施されたアンケート結果[2]によると、○○図書館で力を入れて取り組んでほしい事業の第一位が「子どもを対象とした事業」であったことからも、利用者が○○図書館に求める課題解決支援サービスの最たるものは児童サービスであると言えるだろう。

 ○○図書館は、隣接する○○大学の「○○○○○○」内の3・4階に位置している。3階は一般向けの資料を配架しており、○○席の閲覧席がある。4階は今回取り上げる児童サービスの拠点であり、○○,○○冊の児童向けの資料を有し[3]、「おはなしのへや」に○○席の閲覧席を設けている。また、「本をよむテーブル」が大小2台ずつフロアに設置されており、子どもたちが思い思いの絵本を広げて読んでいる。また、4階フロアにもカウンターがあり、図書館職員が常駐しており、貸出業務やレファレンスに対応している。

○○図書館では児童向けのサービスとして、絵本や紙芝居の読み聞かせの「おはなし会」(20○○年度:○○回開催・○○,○○人参加)[4]を実施している。「おはなし会」は「おはなしのへや」で毎回20~30分の時間で行われる。開催カレンダーは図書館内の掲示のほかにホームページにおいても確認することができる。[5] また、「○○○○○○」[6]等の児童向け読書案内を発行している。「○○○○○○」は、その時季に応じたテーマで絵本を紹介するものである。このような情報誌は親にとっても絵本選びの参考になるため、本と児童と親をつなぐ役割を果たしており、毎月新しい絵本が紹介されることで、図書館へ足を運ぶ動機づけにもなっている。

 

2.実現可能な新たなサービス

 ○○図書館が今後力を入れるべきサービスは、社会人を中心とした調べものニーズへの対応である。ここではその改善策について、蔵書の充実と適正な司書配置の2つの観点から述べる。

まず、蔵書についてであるが、実際に筆者が○○図書館を利用する中でも、児童書や一般書籍(小説など)と比べると、調べもの用に割り当てられた蔵書数や配架スペースは小さかった。また、調べもの用の閲覧席は休日には満席になっていることが多く、○○図書館利用者の調べものニーズの高さが窺われる。加えて、先に参照したアンケート結果[7]によると、専門書の充実に関する要望が挙がっていた。限られた予算の中で全ての分野の専門書を網羅的に購入していくことは困難なことであるため、市内の4館で各々が収集する専門書の分野を決めたうえで、特色ある蔵書の充実を図るのが現実的であろう。また、その際には市内の利用者がどのような専門書を希望する傾向にあるのか、そのニーズをアンケートや貸出状況等を参考に動向を掴んでおくとよいだろう。一方、図書館としては「テーマ別調べ方案内」というA3両面印刷のパスファインダーを作成して館内に設置している。これまでに取り上げられたテーマは、防災・外国文学・郷土の歴史・地図・法令などである。このパスファインダーもこれから収集する専門書のジャンルに応じてさらに充実させていく必要がある。

次に、適正な司書配置についてである。市内の図書館に勤務する司書の総計は○○名である(20○○年4月1日現在)。その内訳は、○○市立図書館が○○名、○○分館と○○図書館がそれぞれ○○名ずつ、そして○○図書館は○○名となっている[8]。そこで、○○市立図書館の○○名のうち○○~○○名程を○○図書館に配置することを希望する。市内の各図書館の規模から考えても、○○図書館に司書が不在であるのは問題であろう。また、これは司書の新規採用ではないため、それほど実行困難な希望ではないと考える。なによりも現状では市内の図書館間にサービスの格差が生じかねず、このような利用者にとって不都合な状態は早急に改善されなければならないと考える。

 以上、実現可能な新たなサービスとして、調べものニーズへの対応を述べた。専門書に関する特色ある蔵書構築と、適正な司書配置によるレファレンスサービスの充実の2点に手を打つことで、○○図書館は社会人を中心とする調べものニーズを満足させることができると考えられる。

 

<参考文献>

[1] ○○市図書館の現状と課題(○○市ホームページ)URL  最終アクセス日:20○○年○○月○○日

[2] [7] ○○市図書館事業評価書(評価期間:20○○年度~20○○年度)URL 最終アクセス日:20○○年○○月○○日

[3] [4] [8] ○○市の図書館20○○(図書館年報)URL 最終アクセス日:20○○年○○月○○日

[5] 20○○年度「定例おはなし会」のお知らせ PDF添付

[6]幼児向け読書案内「○○○○○○(No. ○○)」PDF添付

 

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司書:図書・図書館史(レポート)〔司書8〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書・図書館史」レポートについて書いていきます。

 

<設問>

日本または西洋のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以降)の図書館発展の特徴をコンパクトに要約し、かつ私見(400字程度)を述べてください。

 

<回答作成のポイント>

1.日本or西洋 → 一方を選択する。自分が知識をもっていて、書きやすいと感じる方を選べばよい

2.古代 → 中世 → 近世 → 近代以降:これらの順を追って時系列で記述する

3.何を記述するのか? 図書館の発展の歴史

4.私見:レポートの最後に私見を付記する → 3で記述した発展史を踏まえて、自分の意見・見解を書けばよい

 

<レポート>

1.はじめに

 本稿では、日本における図書館の歴史について、古代・中世・近世・近代以降という区分ごとに概説を述べたうえで、今後の図書館の発展について私見を述べる。

 

2.日本における図書館の歴史について

①古代

 わが国に漢字と書物がもたらされたのは、4・5世紀頃とされ、仏教の伝来も同時期であった。また、高句麗の僧曇徴により、絵の具・紙・墨も伝えられた。貴重であった仏典や文献は保管のために経典専門の書庫である経蔵へ納められた。なお、経蔵の利用者は僧籍関係者に限られていたと考えられている。

 そして、大化の改新によって律令国家が形成されると、行政は文書を中心に行われるようになった。図書寮は、こうした行政に係る文書や木簡等を収集保管するための機関である。当時は今日のような印刷技術がなかったため、伝来した経典の複製のために写経が行われた。写経所を諸所に設置するなど、国家を挙げて写経が奨励され、信仰の増進と学問の発達のために大いに寄与した。さらに遣唐使の廃止に伴って、国風文化が芽生え、『伊勢物語』・『枕草子』・『源氏物語』などの文学が発達し、貴族の間では学問研究のために邸内に文庫を設ける者もあらわれた。

 

②中世

 鎌倉時代に入ると貴族にかわって武士が台頭し、いわゆる封建制度が整えられた。印刷出版の方面では、版画の原理を思わせる「整版」という技術が登場し、近代の活字があらわれるまで印刷文化の興隆に貢献した。また、平安時代までは図書の利用者は貴族や僧籍関係者を中心としていたが、武家の文化が成立することによって、中央の文化が地方へと拡散していくことになった。たとえば、鎌倉時代中期に創設された北条実時の「金沢文庫」は、政治・法制・軍事・文学など幅広く書物を収集していた。この「金沢文庫」の利用者は僧侶等が中心であったようで、現代のような公開的な図書館ではなかったが、漢籍や国書など広範囲の収集は関東における文化のメッカであり、わが国の図書館史上で際立った存在である。

 さらに室町時代には、現代に残るわが国最古の学校といわれる足利学校が創建された。戦乱の世にあって、武家への助言者を養成する機関であった。武人からの図書の寄進も多く、易学を中心とする儒学関係の典籍が豊富であった。実際の利用については、貸出禁止・閲覧は1冊に限定・書き込みや切抜きの禁止・季節ごとの本の手入れ等の規則が設けられていた。

 

③近世

 徳川氏が天下統一を果たした江戸時代になると、儒教を精神的バックボーンとした政策により、中世的な分権的封建制から集権的封建制へと移り変わっていった。これにより比較的天下泰平の時代となり、

幕府が学芸を奨励したこともあって、一般庶民にまで文化が広がっていった。このような文化の発展に伴って、今までにはなかった商業出版が営業として確立した。読書人口の増大により、書籍を出版・販売する書肆が誕生し、さらに読書人口が増えていくという好循環ができた。これにより大衆読者がうまれ、図書館的な機能を果たす貸本屋も登場した。また、徳川幕府の文庫としてわが国最初の官立図書館というべき「富士見亭文庫」が江戸城内に設けられたが、一般公衆の利用は考慮されていなかった。この「富士見亭文庫」には三代将軍家光の頃に書物の管理を担当する「御書物奉行」が置かれ、今日の司書のような役割を担った。その他には、大名の文庫として蓬左文庫・南葵文庫・尊経閣文庫などがあり、朝廷や公家の文庫としては、東山御文庫・陽明文庫・冷泉家文庫などが設けられた。また、教育関係では、「昌平坂学問所」が設置され、全国出版物改めにより一種の納本制度が取り入れられていた点が注目される。

 

④近代以降

 明治維新以降、西洋を手本とした諸政策が実行されていったが、図書館についてもその例外ではなかった。福沢諭吉の『西洋事情』により、欧米諸国の図書館の事情が紹介され、わが国の図書館の近代化がスタートした。市川清流や田中不二麻呂などの先覚者によって図書館設置の重要性が提言され、明治5年にはのちの国立国会図書館の源流である書籍館が発足した。この書籍館明治13年東京図書館と称せられ、このとき初めて図書館という名称が用いられた。さらに明治30年になると帝国図書館と改称され、蔵書数24万冊の近代的な図書館となった。

 さて、明治32年制定の「図書館令」では閲覧料の徴収が認められていたが、戦後のGHQがこの有料体制を批判した。そして図書館の民主化を進めるべく、昭和22年に「図書館法」が制定されることになった。同法は公共図書館について、閲覧料を撤廃し、司書の職務規定と資格、図書館奉仕など新しい図書館のあり方を提示した。そして、昭和38年にはいわゆる「中小レポート」が発刊され、市民サービスを念頭に置いた開かれた図書館像を模索していくことになった。

 

3.私見(図書館史を概観して)

 このたびわが国の図書館史を概観して、現代の私たちの身近にごく当たり前のように公共図書館が存在し、無料で利用できるということは非常にありがたいことであり、これまでの図書館の発展のために心血を注いだ先覚者たちがいたことを記憶に刻んでおこうと思った。

また、図書館(文庫等)は時代によって様々な役割を担っていたが、今日の図書館はこれまでの時代のあらゆる役割を網羅するような施設になっているのではないかと考えた。書籍の収集保管に始まり、教育的施設としての側面、一般市民の娯楽としての側面など多彩であるからだ。そして今後は、有形の書籍に加えて新たに電子媒体の書籍が加わったり、生涯学習の拠点のひとつになったり等、よりサービス面の充実が期待されている。そして時代の対応に追われるだけではなく、図書館あるいは司書自身が時代を先取りするような先見性をもって、図書館の新たなサービスを主体的に創造していくことが求められる時代にあると考える。

 

<諸注意・免責事項> ※必ずお読みください

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司書:情報資源組織論(レポート)〔司書7〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「情報資源組織論」レポートについて書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。

1.現在、主に公共図書館大学図書館で導入されているふたつの目録作業について、外部書誌データの利活用との関わりから概説してください。

結論では、各目録作業の利点や課題を明らかにしてください。

<キーワード:MARC、集中目録作業、共同目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>

⇒「ふたつの目録作業」とは・・・「集中目録作業」と「共同目録作業」のこと

キーワードを使いながら、このふたつを「外部書誌データの利活用との関わりから概説」すればOK!

 その際に結論は、このふたつの目録作業の「利点や課題を明らかに」すればOK!

 

2.十進記号法と列挙型分類法、それぞれの長所と短所を中心に、日本十進分類法(NDC)の特徴について論述ください。

結論では、長所と短所からの考察、日本十進分類法(NDC)を活用する意義や課題などを明らかにしてください。

<キーワード:総記、十進記号法、列挙型分類法、補助表、NDC>

⇒ 前提知識 日本十進分類法(NDC)は、「十進記号法」と「列挙型分類法」を使用している。

 キーワードを使いながら、「十進記号法」と「列挙型分類法」の長所と短所を、NDCの特徴という位置づけで論述すればOK!

 その際に結論では、「長所と短所からの考察、日本十進分類法(NDC)を活用する意義や課題など」について述べればOK!

 

<レポート>

【設問1】

1.はじめに

図書館における目録作業には、集中目録作業と共同目録作業の2つがある。ここでは、これらの作業の概説と利点・課題について述べる。

 

2.ふたつの目録作業

2-1.集中目録作業について

 集中目録作業とは、他の図書館でその作業結果が利用されることを前提に、複数の図書館が相互協力によって目録作業を集中的に行うこと(すべての資料の目録作業を集中的に1か所の図書館で行う場合もある)である。各図書館が新規資料を購入した際に、その資料の書誌データが存在している場合には、新たに作業することなく書誌情報を入手することができる。なお、この時に使用されるデータのことを機械可読目録(MARC)と呼んでいる。

2-2.共同目録作業について

共同目録作業とは、いくつかの図書館が目録作業の重複を避けることを目的に協力し、そのコストと労力を分け合って行う相互協力のことである。データベースに未収録の資料をある館が登録(オリジナル・カタロギング)すれば、他の館は必要に応じてその書誌レコードを複製して目録を作成(コピー・カタロギング)することができる。こうした共同目録作業によって作成されたデータベースは、総合目録データベースと呼ばれている。さて、この共同目録作業を進めるうえで必要となるのが書誌ユーティリティと呼ばれるシステムやデータベースを管理する専門の組織である。たとえば日本では、国立情報学研究所(NII)が挙げられる。共同目録作業を行う際に、相互貸借、目録の遡及変換等の図書館業務の支援やデータベース提供を行い、参加機関の業務軽減や標準化に寄与している。

 

3.おわりに

これまで述べてきた2つの目録作業に係る利点と課題を述べる。

まず、集中目録作業は一括して行われるため、目録作業の省力化と標準化に利点がある。また、課題としてはMARCにデータが存在しない場合に、新規資料として登録することができず、結果として図書の刊行とMARCへの収録との間にタイムラグが生じてしまうことが挙げられる。

次に、共同目録作業では、図書を購入した際に登録したデータを各図書館が相互に利用することができ、労力を軽減できる利点がある。また、課題としては各図書館が登録したデータに誤りがあった場合、他の図書館もその誤ったデータを使用してしまうことがある。また、同一の図書に対して複数のレコードが生成されてしまう可能性もある。よって、共同目録作業を円滑に進めるためには、一定水準を満たす標準的なレコードの作成や、既存の書誌レコードの検索漏れを防ぐ検索機能、典拠コントロール等の品質管理の仕組みが不可欠であると考えられる。

 

【設問2】

 1.はじめに

日本十進分類法(NDC)は、現在ほとんどの日本の公共図書館で活用されており、「十進記号法」と「列挙型分類法」を併用している点が特徴である。ここでは双方の長所と短所を述べつつ、NDCの意義や課題についても考察する。

 

2.NDCの特徴である「十進記号法」と「列挙型分類法」について

まず、「十進記号法」は、1桁上がるごとに10倍になる十進法の原理に基づき、10個の数字を用いた記号法である。よって、順序性が明快であり、記号の順序を理解しやすいという利点がある。また、内包を区分けするという方法により高い柔軟性を備えており、人類の学術文化の進展に対応可能という観点からも実用性が評価されている。一方で、区分が10個しかないという制約が区分を配分する上で欠点となる。

次に、「列挙型分類法」は、あらかじめすべての主題に対応した分類項目を分類表に用意し、対応する既成記号を使用させる分類法である。利点は、分類の区分が明確であることと、同じ主題のものがまとまることで検索性が高まること等が挙げられる。一方で課題としては、ありうべきすべての主題を予測して列挙しておくことは事実上不可能であり、該当項目がない場合や、複数の主題が含まれた場合も用意された分類表の中から一つを選択しなくてはならない点が挙げられる。そこで、この短所を克服すべく「分析合成型分類法」が考案され、複数の主題が設定できるようになった。

さて、日本十進分類法(NDC)は、上述の分類法を取り入れて作成されている。すなわち、列挙型分類法によって分類し、その分類に十進記号を用いて区分している。そして、分類作業では各種の注記などが示されている細目表を用いる。細目表は知識の総体を9つの領域に分け、1から9で表示し、事典などの複数の領域に渡る総合的な領域を総記と名付けて0で表示し、計10区分に分類して構築される。なお、項目に適合した分類がない場合は、一般補助表や固有補助表を利用し、記号を付加することでより適切な分類記号を作り出す。

 

3.おわりに

NDCを活用することで、資料の分類が明確になり、利用者の資料検索も容易になっている。なお、分類表は、社会情勢の変化や学術文化の進展状況にあわせて更新していく必要がある。その際、分類体系の複雑化や新たな区分原理の導入の必要が発生する可能性がある。この状況に対応するために、図書館員はあらゆる主題・領域に堪能であることが求められていると考える。

 

<諸注意・免責事項> ※必ずお読みください

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司書:図書館情報資源概論(レポート)〔司書6〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館情報資源概論」レポートについて書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

設題:(1)ネットワーク情報資源とはなにか、

(2)公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の事例や特徴を述べるとともに、

(3)今後の収集の在り方や課題についても述べなさい

 

<作成のポイント>

出題者の要求が3点明示されており、非常にわかりやすい設問です。テキストと参考文献を駆使して、(1)~(3)までの問いを満たす記述ができればよいでしょう。

 

<レポート>

1.ネットワーク情報資源とは何か

 まず、図書館に収集される情報資料とは、図書・雑誌・新聞などの印刷資料と、点字資料・映像資料などの非印刷資料に大別される。本稿で取り上げるネットワーク情報資源は、非印刷資料である。以下、その具体的な類型と特徴について述べる。

 

①有料・無料データベース

 有料のデータベースは、図書館が契約しており、ユーザーIDとパスワードを入力することで閲覧可能となる。過去の新聞記事や辞書・事典など様々なサービスがある。なお、官公庁系が提供しているデータベースは、種類こそ少ないものの無料の場合が多い。

②電子ジャーナル

 電子ジャーナルとは、従来は印刷物として出版されていた学術雑誌を電子版にしたものである。全文の閲覧および入手が可能で、リンクをたどって必要な文献を探し出すことができる利点がある。

③電子雑誌

 電子雑誌とは、オンライン上で読むことができる商業雑誌のことである。なお、先述の電子ジャーナルは含まれない。紙媒体と並行して出版される場合もあるが、両者の内容やボリュームは必ずしも同じとは限らない点に注意が必要である。

電子書籍

 電子書籍とは、デバイスを利用してデジタル化された書籍の情報を閲覧するコンテンツである。なお、音声読み上げソフトを導入することで、視覚障害者等にも活用可能な媒体となる。

デジタルアーカイブ

 デジタルアーカイブとは、原資料を所蔵している所蔵館や提供元が、有形・無形の文化的資源をデジタル化し、ネットワーク上に保存した保管庫のことである。印刷物と異なり経年劣化がないため、重要な資料を後世に残す上で大きな役割を果たしている。

 上記の他にも、音声および動画コンテンツ・青空文庫・電子黒板・デジタル教科書など、情報資源には様々な類型がある。

 

2.公共図書館が提供しているネットワーク情報資源の事例や特徴

 2009年に著作権法第31条第2項が新設されたことにより、国立国会図書館は、所蔵する資料を保存する目的でのデジタル化が可能となった。さらに2012年の法改正によって、絶版等一部資料は国立国会図書館が承認した図書館等へ自動公衆送信が可能となり、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧・検索することができるようになった。

 さて、ここからは具体的な公共図書館の取り組みとして、千代田区千代田図書館静岡県立中央図書館を取り上げる。

 まず、2007年11月に「千代田Web図書館」を開始した千代田図書館は、日本の公共図書館における電子書籍貸出サービスの先駆けと言われている【註1】。このサービスは、電子書籍をインターネット上で貸出・閲覧することができる非来館型サービスであり、学習系や語学学習用のオーディオブックなど約4000タイトルを提供していた。なお、2週間の貸出期間が過ぎると、パソコン上からデータが自動的に消滅する仕組みになっている。昆虫などの3D図鑑や文学作品を録音した音声コンテンツ、会計講座などの動画など、電子書籍ならではのサービスを提供している【註2】。

 次に、静岡県立中央図書館の「デジタルライブラリー」を取り上げる。この取り組みは、同館で所蔵する貴重書(江戸幕府旧蔵資料「葵文庫」、地域貴重書、浮世絵など)について、書誌データを作成し、画像とともにデジタルライブラリーとして公開する試みである。インターネットに接続できる環境があれば、時間と場所を選ぶことなく閲覧が可能である。なお、「葵文庫」の全点2, 700冊は画像からPDFファイルを作成し、ダウンロードすることもできる。貴重書の原本は、調査・研究目的で事前の申し込みをした場合のみ閲覧可能であったが、デジタル化によって非研究者にも貴重な文化遺産を目にする機会を広く提供することが可能となった。【註3】

 

3.今後の収集の在り方や課題

 今後のネットワーク情報資源の収集で筆者が課題と考えた点について述べる。

 まず、電子書籍に関して、図書館は出版社と利用者の仲介的な役割を担うに過ぎず、電子書籍そのものを所有するわけではないため、契約の打ち切りと同時にすべて閲覧不可となってしまう可能性が高い。そして、多額の税金を投入して整備していた電子書籍について結果的としてモノ(有形出版物)が図書館に何も残らない事態が生じる危惧もある。このような電子書籍ならではの課題について、図書館がどのような見解で対処するのかが大きな課題のひとつと考える。

 また、ネットワーク情報資源は、来館せずに利用者が資料を利用できる点がメリットのひとつであるが、それは図書館への来館者の減少に繋がりやすいことも意味する。来館者と図書館員の互いの顔が見えづらくなる中で、利用者ニーズの把握の困難化が想定され、どのような方策が有効か模索する必要がある。さらには、自身の手元の端末で貸出から返却まで完了する非来館型のサービスについて、有形出版物を前提とした従来の貸出・返却という概念そのものが変わりつつある時期にあると考える。(再定義の必要に迫られるだろう)

このほかにもいまだ顕在化していない課題も含め、これからの図書館員がなすべきことは多いと考える。

 

<参考文献等>

【註1】細野公男/長塚隆共著『デジタル環境と図書館の未来』中外アソシエーツ・2016年

161頁

【註2】千代田Web図書館について(文部科学省ホームページ)URL 最終アクセス日:20○○年○○月○○日

【註3】デジタルライブラリーへの貴重書の登録・公開(文部科学省ホームページ)URL 最終アクセス日:20○○年○○月○○日

 

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