記憶の汀

~大学図書館司書のとりとめのない日々のこと~

司書:図書館情報資源概論(科目終末試験)〔司書17〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館情報資源概論」科目終末試験について書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

図書館情報資源の収集業務の特徴について、説明してください。また、公共図書館が収集する情報資源の特徴についても、説明してください。

 

<答案>

1.図書館情報資源の収集業務の特徴について

 図書館は、情報資源を収集し、整理し、保存し、利用者に提供することで、国民の知る自由を保障する機関として社会的な役割を担っている。図書館はこの「知る自由」の保障を国民に約束するものとして、1954年に全国図書館大会において「図書館の自由に関する宣言」を採択している。図書館はこの宣言を尊重し、各々の図書館においてどのような資料を収集していくのか、選定の際の具体的な優先順位、さらには所蔵資料を除籍する際の基準等を成文化し、住民に公開することが求められている。

 そこで各館は収集方針を作成している。収集方針の多くは、基本方針と各資料における収集基準で構成されており、塩見昇「収集方針の成文化・公開の意義と図書館の自由」によれば、収集方針に盛り込むべき内容として下記が指摘されており、図書館情報資源の収集における特徴となっている。

・その図書館の奉仕対象とサービス活動が基本的にめざすところ

・図書館資料と知的自由の関連

・収集、選択の構築と決定にあたる責任の所在

・収集する資料の範囲

・利用者からの要求(リクエスト)と蔵書に対する批判への対処の方法

・蔵書からの除去、廃棄についての基本的な考え方

なお、収集方針は館長や担当職員が代わるたびに変更されるものであってはならず、成文化と公開が必要である。

また、収集方針の記述について先述の塩見が、抑制型と拡張型について次のように定義している。抑制型は、「図書館のサービス目的なり奉仕対象、性格を図書館サイドで一方的、恣意的に決めてかかり、それに基づき資料収集の範囲を設定し、それに照らして利用者の要求を抑制することに結果として役立っているもの」とし、収集方針の記述の中では「・・・なので・・・のものは収集しない」という表現が特徴である。一方で、拡張型は「図書館がどのようなサービス活動を展開するために、どういう資料収集を行おうとしているかを進んで示すことで、利用者にサービスの広がりを感ぜしめ、資料要求を積極的に喚起しようとするもの」であり、「様々な資料を幅広く収集する」という表現が特徴的である。なお、図書館界では、一般的に拡張型で記述することが望ましいとされている。

 

2.公共図書館が収集する情報資源の特徴について

 公共図書館は、広域的な都道府県立図書館と、当該図書館が属する地方公共団体の住民を対象とした市区町村立図書館の2層構造になっており、それぞれ対象とする利用者やサービスが異なっているため、収集すべき資料の範囲も異なる。

 まず、都道府県立図書館では、住民のあらゆる資料要求に応える責任と、市区町村立図書館の資料センターとしての役割を果たすため、すべての主題分野を包括し図書や雑誌、新聞などの伝統的資料以外にも視聴覚資料やネットワーク情報資源などの多様な資料、また県内の地域資料のほか国内外の資料を幅広く収集するという特徴がある。

 次に、市区町村立図書館では、館の属する地域の住民のニーズと地域社会を反映した資料を収集するという特徴がある。また、これら以外にも、作家におくられる文学賞・児童文学賞の図書など、利用者ニーズの高い資料も収集の対象とする特徴がある。

 さらに、中央図書館(本館)と地域図書館(分館)という観点からも、その役割によって収集するべき資料が異なっている。たとえば、地域図書館の場合は、地域の事情に応じた資料収集と住民の利用が多い資料の収集が望ましい。特に住民の身近な図書館であるために、日常の問題解決に役立つ資料や教養書、実用書、児童図書などを豊富に備えているという特徴がある。

 また、車でステーションを巡回する移動図書館では、新着図書以外にもインターネットから予約された資料や、季節に合わせた資料が積載されるという特徴がある。

 

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