記憶の汀

~大学図書館司書のとりとめのない日々のこと~

司書:図書館情報資源特論(科目終末試験)〔司書21〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館情報資源特論」科目終末試験について書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

図書館におけるプライバシーの権利について、述べてください。

 

<答案>

 プライバシーの権利は、かつては他人に知られたくない情報について他人によるコントロール(思想・信条・前歴・成績など私生活上の事実の開示)を違法として排除することにあったが、今日では、自己の情報一般に対する他人のコントロールを違法とする方向に拡大している。以下、図書館におけるプライバシーの権利とは一体どのようなものであるか述べていきたい。

 

1.個人情報保護法との関わり

 個人情報保護法は、過去6ヶ月以内のいずれの時点においても5001件を超える個人情報を個人情報データベース等として所持して事業に用いている事業者は個人情報取扱事業者とし、不適切な対応がなされた際には刑事罰が科されるとしている。これは、公立図書館等でも適用される。また、同法は個人情報を取得する際にはその利用方法を本人に明確に伝えなければならないと定めており、図書館は図書館利用者に個人情報の利用範囲について文書にて明示しておかねばならない。実際の図書館運営においては、利用者の登録名簿などが外部に漏れないばかりではなく、館員の守秘義務体制についても十分に配慮しなければならない。とりわけ、利用者の読書履歴(貸出履歴など)の情報流出は人権の問題にもなるため、利用者のプライバシーの権利を侵害しないために図書館の危機管理体制が不可欠である。

 

2.「図書館の自由宣言」に見るプライバシーの権利

 1954年に採択され1979年に改訂となった「図書館の自由に関する宣言」であるが、その第3には、「図書館は利用者の秘密を守る」として、「読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない」と明記されている。また、図書館の利用事実そのものについても利用者のプライバシーとしているほか、館員の守秘義務についても明記している。このことから、図書館は個人情報保護法に先立ち、利用者のプライバシーの権利の保護に努めてきたと評価できる。

 

 以上より、図書館が保護すべき利用者のプライバシーの種類は、貸出・予約・レファレンスなどの図書館利用記録が基本となるが、利用記録や閲覧状況から見えてくる利用者個人の読書傾向やそこから読み取ることのできる思想信条などにも及ぶだろう。また、外部から図書館のOPACや商用データベースにアクセスした時のログや検索履歴など、紙媒体の図書に限らず、プライバシーの権利は情報資源のすべてに発生する点も注意が必要であろう。同時に、図書館は各館において利用者のプライバシーの権利を守るべく、プライバシー・ポリシーを策定し、広く公開することが求められる。これは、館員自らも利用者のプライバシーを守る義務があることについて理解を深める機会にもなる。

 

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