記憶の汀

~大学図書館司書のとりとめのない日々のこと~

司書:図書館制度・経営論(科目終末試験)〔司書20〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館制度・経営論」科目終末試験について書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

スタッフマニュアル作成の基本原則6種類を挙げ、それぞれについて記すとともに、有効に活用されるには、どのような対策が必要か、貴方自身の考え方を含め記してください。

 

<答案>

 スタッフマニュアルとは、業務を遂行するにあたっての手引きと言えるものであり、日常業務の効率化・能率化およびサービスの継続性と改善に資するために大変有用なものである。スタッフマニュアルの基本原則として次の6種類が挙げられる。以下、それぞれについて記す。

 

①組織性の原則

 マニュアルは単に個々人の仕事の内容の記録にとどまるものではなく、図書館運営を組織的に行うために作成されるものであり、常に組織の仕事として認識されなければならない、ということである。

②継続性の原則

 業務内容が中断したり、その都度変化したりするようでは、長い目で見た場合に無駄になりやすく、また、図書館発展の阻害要因ともなるため、業務に一貫性を持たせて継続性を尊重しなければならない、ということである。

③相互性の原則

 個々の業務は、図書館の目的や方針に沿って行われるものであるため、その業務と方針がどのような関係になっているかを明確にしなければならない、ということである。また、分館・分室・部局がある場合には、業務の相互関連性を明確にしておく必要もある。

④手引きの原則

 業務手順を単に列記するのみではなく、いつ誰が来ても、できるかぎり同じ仕事ができるように最大の工夫をし、手引書的要素を十分に持たせる、ということである。具体的には、書式・様式・流れ図なども入れるなどの工夫が求められる。

⑤明瞭性の原則

 個々の業務の意味や価値、各館員の責任や占める位置、また業務の相互関係、やり方などを明瞭に説明しておく、ということである。

⑥重要性の原則

 図書館業務そのものは、世の移り変わり、また図書館の発展・成長・環境変化などに常に対応していかねばならないことから、マニュアルが決して固定的・不動的なものであってはならない。したがって、図書館運営を効率的・効果的に行うために、特に重要と思われる場合に、図書館の方針および他の法則をも考慮した上で、柔軟に逐次修正されなければならない、ということである。

 

 次に、スタッフマニュアルが有効に活用されるための対策について記す。

①「マニュアル人間」と揶揄されないために

 マニュアルに書かれた通りに行動し、マニュアル以外のことはやらない人のことを揶揄的に「マニュアル人間」と言う。このような融通の利かない者の存在は、業務や組織を硬直化させるのみならず、利用者からの信頼も喪失してしまうことになるだろう。これを防止するために、私はマニュアルの運用理念をマニュアルの表紙(扉)に大々的に掲げることを提案したい。すなわち、「利用者中心思考に基づくスタッフマニュアル ~人間味のあるサービスを提供するために~」と題し、「このマニュアルは、利用者サービスに個人差が出ないように平等に提供し、さらに担当者の力量やキャリアにあわせて更に良いサービスの提供を目指すものである」と明記するのである。つまり、マニュアルに記載されている事項は、あくまでも最低のサービスレベルであり、この水準を全員が保証しつつ、より高い目標のサービスを各人の研鑽によって達成しようというものである。いつでも目に飛び込んでくる場所に記載することで、初心を忘れることなく、そしてマニュアルに込められた利用者中心思考などの思想的側面をも深く身につけることができるだろうと考える。

 

②マニュアルの置き去りを防止するために

 一度作成されたスタッフマニュアルが置き去りにされてしまい、有効活用されない場合がある。その理由としては、「実務担当者が長期にわたって同じ業務を行うことによって、マニュアルを使わなくてもよくなる」ことや「見てもよくわからない等、作成方法が悪い」、「日常業務において、マニュアルを見る癖をつけることが難しい」等がある。その対策として、たとえば、月に一度見直す作業(例:月末の勤務日)をルーチンワークに組み込むことが有効であると考える。マニュアル作成および更新を、自分の業務の土台として捉えるのである。その際に見直すポイントとしては、新しく発生した業務はないか・改善した業務はないか・自分自身の経験から利用者にとってさらにプラスとなるサービスはないか・新人や異動者にとってわかりやすい記述になっているか等があるだろう。自分の職掌内のスタッフマニュアルの責任は自分にある、という一事を忘れぬよう日々の職務に励むべきである。

 

⇒試験時間は50分しかありません。「私見を述べよ」タイプの設題には、とりあえず自分の考えを書く。その妥当性は(とりあえず)問わない。深く考えない。時間が無い。

 

 

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