記憶の汀

~大学図書館司書のとりとめのない日々のこと~

司書:図書館情報技術論(科目終末試験)〔司書19〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館情報技術論」科目終末試験について書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

ハードウェアとソフトウェアとは何か。その役割とともに説明してください。

 

<答案>

 プログラム内蔵式のコンピュータは、ハードウェアとソフトウェアから成る。本稿では、ハードウェアおよびソフトウェアについて、それぞれの役割とともに説明する。

 

1.ハードウェアについて

 ハードウェアとは、コンピュータを構成する機器・装置を指す言葉である。ハードウェアは、入力装置・中央処理装置(以下、CPUと表記する)・記憶装置・出力装置等のコンピュータを構成する機器の総称である。

 CPUと記憶装置がコンピュータ本体である。CPUは、記憶装置に記憶されたプログラムの命令によって演算や制御を行う役割を担っている。また、記憶装置には、プログラムとデータの2種類の情報が記憶されており、その1つひとつにアドレスが付与されている。これにより、プログラムやデータを記憶させるときにはアドレスを指定してその記憶エリアに記憶することができ、また、それを読み出すときも該当するアドレスを指定することで読み出しを可能とする役割がある。

 次に、入力装置は、人間が理解できる形のデータをCPUが扱うことのできる「1と0」の組み合わせの信号に変換してCPUへ入力する役目がある。たとえば、キーボードで「A」のキーを押すと、「A」に対応するデータがキーボードからCPUに送られる。そして、CPUは記憶装置に記憶されたプログラムの命令に従って、入力された「A」に対応するデータを記憶装置のデータエリアに一旦記憶させる。そして、出力装置のディスプレイに表示させるために、一旦記憶した「A」に対応するデータを読み出してディスプレイに出力することができる。

 

2.ソフトウェアについて

 ソフトウェアとは、コンピュータを動かすためのプログラムを指す言葉であり、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションソフトに大別される。なお、コンピュータにおけるプログラムとは、コンピュータにどのようなことをどのような順序で行わせるかを事細かに記したものであり、命令の手順書と言えるものである。

 まず、OSには、プロセス管理・メモリ管理・ファイル管理・入出力管理・システム管理の役割があり、利用者が使いやすく効率よく仕事ができるようにコンピュータを自動的にコントロールする基本ソフトウェアである。プロセス管理には、コンピュータがまったく同時に複数の仕事を行うことができない性質から、プロセスの実行順序・各プロセスの切り替え・実行や中断などのさまざまな制御を行う役割がある。メモリ管理には、主記憶装置にプログラムを記憶し、残った領域にデータを記憶してプログラムで処理をしたり、新しいデータを記憶するときには処理されたデータをハードディスクに戻すなどのメモリの管理作業を行う役割を有している。ファイル管理とは、OSがハードディスクなどの補助記憶装置の空き領域のどの位置にどのようにファイルを記憶させるかなどの管理を行う役目がある。出入力管理には、ハードウェアや制御方法の違いに関係なく、統一的に周辺機器を扱えるようにする役割がある。システム管理には、大規模システムのOSやネットワークサーバーなどのOSを利用する際に、システム全体を運営・保守・管理する際の機能である。

 なお、パソコン用の代表的なOSとしては、マイクロソフト社が開発したWindowsや、アップル社が開発したMacOSなどがある。

 次にアプリケーションソフトについてであるが、パソコンで文書や表計算シート等を作成するときには、それぞれの専用のソフトウェアが必要になる。すなわち、文書作成にはワープロソフト(マイクロソフト社のWordなど)や表計算表計算ソフト(マイクロソフト社のExcelなど)といった専用のソフトウェアを使用する。

 

<諸注意・免責事項> ※必ずお読みください

・当ブログに掲載されているコンテンツ・情報等を用いたことにより発生するいかなる損失・損害に対しても、当ブログ運営者は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

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・誤字脱字等がある場合があります。ご了承ください。

・レポートや試験解答の丸写しは盗用にあたります。本ブログのコンテンツ・情報等はあくまでもひとつの参考としてご利用ください。学習を進めるうえで不明点が発生した場合は、テキストや参考書等で再確認をしたり、講師に質問をしたりして解消していきましょう。地道な学習の過程こそ、知識や技能を定着させることに役立ちます。

司書:情報資源組織論(科目終末試験)〔司書18〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「情報資源組織論」科目終末試験について書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

典拠コントロールとは何か、具体的に事例を挙げて述べなさい。

 

<答案>

 典拠コントロールとは、標目(アクセス・ポイント)を付与する際の根拠(典拠)を明瞭にして管理(コントロール)することである。

 たとえば、標目として著者標目を付与する際には、次の2点に留意が必要である。すなわち、同一著者には依然用いた同じ統一標目を使用することが必要であり、資料上は「夏目金之助著」や「by Soseki Natsume」とある資料であっても、標目を付与する際にはもっとも一般的な「夏目 , 漱石」とする。これは、「夏目漱石」の資料を検索した際に、他の表記(「夏目金之助著」等)を漏らすことがないようにするために重要である。また、同姓同名で新たに統一標目を設定する場合には、「鈴木 , 一郎(1930-)」や「鈴木 , 一郎(1952-)」のように著者名に加えて生年等を付すことで、別の著者であることが明確に区別できるようにする。こちらも資料検索の際に同名の別人物との混同を避ける上で重要である。これら2点は目録の信頼性を確保する上で欠かすことのできない事項である。

 また、タイトルに関しては、利用者にとって所蔵の有無を確認する特定資料検索の際に識別機能を果たせばよいため、一般的には典拠コントロールを行って統一標目を設定する必要はない。よって、記述の記載事項に従って機械的にタイトル標目を付与することになる。ただし、明確な著者がいない作品(例:「アラビアン・ナイト」「千夜一夜物語」)に関しては、機械的にタイトル標目を付与せず、統一タイトルを設定し、典拠コントロールを行うことになる。これは、集中機能を適正に機能させて、利用者が検索する際に適切な版を選択できるようにするために必要な作業となっている。

 なお、統一標目等の典拠レコードを集積したファイルを典拠ファイルと呼んでいる。

 

 

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司書:図書館情報資源概論(科目終末試験)〔司書17〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館情報資源概論」科目終末試験について書いていきます。

末尾の諸注意・免責事項も必ずお読みください。

 

<設題>

図書館情報資源の収集業務の特徴について、説明してください。また、公共図書館が収集する情報資源の特徴についても、説明してください。

 

<答案>

1.図書館情報資源の収集業務の特徴について

 図書館は、情報資源を収集し、整理し、保存し、利用者に提供することで、国民の知る自由を保障する機関として社会的な役割を担っている。図書館はこの「知る自由」の保障を国民に約束するものとして、1954年に全国図書館大会において「図書館の自由に関する宣言」を採択している。図書館はこの宣言を尊重し、各々の図書館においてどのような資料を収集していくのか、選定の際の具体的な優先順位、さらには所蔵資料を除籍する際の基準等を成文化し、住民に公開することが求められている。

 そこで各館は収集方針を作成している。収集方針の多くは、基本方針と各資料における収集基準で構成されており、塩見昇「収集方針の成文化・公開の意義と図書館の自由」によれば、収集方針に盛り込むべき内容として下記が指摘されており、図書館情報資源の収集における特徴となっている。

・その図書館の奉仕対象とサービス活動が基本的にめざすところ

・図書館資料と知的自由の関連

・収集、選択の構築と決定にあたる責任の所在

・収集する資料の範囲

・利用者からの要求(リクエスト)と蔵書に対する批判への対処の方法

・蔵書からの除去、廃棄についての基本的な考え方

なお、収集方針は館長や担当職員が代わるたびに変更されるものであってはならず、成文化と公開が必要である。

また、収集方針の記述について先述の塩見が、抑制型と拡張型について次のように定義している。抑制型は、「図書館のサービス目的なり奉仕対象、性格を図書館サイドで一方的、恣意的に決めてかかり、それに基づき資料収集の範囲を設定し、それに照らして利用者の要求を抑制することに結果として役立っているもの」とし、収集方針の記述の中では「・・・なので・・・のものは収集しない」という表現が特徴である。一方で、拡張型は「図書館がどのようなサービス活動を展開するために、どういう資料収集を行おうとしているかを進んで示すことで、利用者にサービスの広がりを感ぜしめ、資料要求を積極的に喚起しようとするもの」であり、「様々な資料を幅広く収集する」という表現が特徴的である。なお、図書館界では、一般的に拡張型で記述することが望ましいとされている。

 

2.公共図書館が収集する情報資源の特徴について

 公共図書館は、広域的な都道府県立図書館と、当該図書館が属する地方公共団体の住民を対象とした市区町村立図書館の2層構造になっており、それぞれ対象とする利用者やサービスが異なっているため、収集すべき資料の範囲も異なる。

 まず、都道府県立図書館では、住民のあらゆる資料要求に応える責任と、市区町村立図書館の資料センターとしての役割を果たすため、すべての主題分野を包括し図書や雑誌、新聞などの伝統的資料以外にも視聴覚資料やネットワーク情報資源などの多様な資料、また県内の地域資料のほか国内外の資料を幅広く収集するという特徴がある。

 次に、市区町村立図書館では、館の属する地域の住民のニーズと地域社会を反映した資料を収集するという特徴がある。また、これら以外にも、作家におくられる文学賞・児童文学賞の図書など、利用者ニーズの高い資料も収集の対象とする特徴がある。

 さらに、中央図書館(本館)と地域図書館(分館)という観点からも、その役割によって収集するべき資料が異なっている。たとえば、地域図書館の場合は、地域の事情に応じた資料収集と住民の利用が多い資料の収集が望ましい。特に住民の身近な図書館であるために、日常の問題解決に役立つ資料や教養書、実用書、児童図書などを豊富に備えているという特徴がある。

 また、車でステーションを巡回する移動図書館では、新着図書以外にもインターネットから予約された資料や、季節に合わせた資料が積載されるという特徴がある。

 

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司書:児童サービス論(科目終末試験)〔司書16〕

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今日は私が受講した年度の「児童サービス論」科目終末試験について書いていきます。

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<設題>

学校図書館の役割のひとつに教員へのサポート機能があげられます。あなたが学校司書の場合、具体的にどのようなサポートや学校司書活動をおこないますか。サポート機能の必要性を述べたうえで、あなたが考えるサポートや活動内容の意義や役割、期待される効果の観点すべてを述べよ。ただし、教科書や、実在する図書館の活動を書くのではなく、自分で考えた内容を述べること。

 

<答案>

 本稿では、まず学校図書館による教員へのサポート機能の必要性を述べたうえで、私が考えるサポートや活動内容の意義や役割、期待される効果について述べる。

 

1.教員へのサポート機能の必要性について

 学校図書館は、公共図書館と同様に利用者に対して適切な資料を手渡す機能があるが、さらに「学校の教育課程に寄与する」という目的も併せ持っている。そのため、この観点から教科指導のための資料や教材となる図書を集めて教員に提供するという、学校図書館の教員へのサポート機能が必要となっている。

 

2.私が考えたサポート・学校図書館活動について

 ここでは、「何らかの事情で教室へ通うことのできない生徒へのサポート」について考える。

 いわゆる保健室登校等の生徒を対象とし、「通常の」授業を受けられなくとも、配当学年にふさわしい教育を提供するという意義がある。日々、授業に追われている教員はこのような生徒へ個別に十分なフォローができる余裕があるとは限らないため、学校司書と教員が相互に情報共有を図りながら、科目ごとに参考となる図書をリストアップする。そして、可能であれば学校司書とその生徒がいっしょに学校図書館で本を探してみる。なお、その際に他の生徒に見られたくないという希望がある場合は、授業時間に行うとよいだろう。通常の授業ではないため、教科書や参考図書を用いた自学自習スタイルになると想定されるが、教科書の例題や問題集の解答などは、本人の希望があれば学校司書を経由して各科目の教員の添削を受けられるような仕組みを構築すべきである。学校司書によるこれら一連のサポートにより、教室へ通うことのできない生徒にも各教科の学力向上の効果が期待できる。

 さらに、これらのサポートには、次の効果も期待され得る。すなわち、当該生徒に「学校はあなたのことを見捨ててはいない」というメッセージを間接的に伝えることができる。とくに小中学校などの義務教育レベルでは重要なことで、生徒自身が最も気にしている事柄であり、学校側の対応の姿勢には敏感であると考えられる。また同時に、勉強する場は教室だけではなく、学校図書館や保健室等も学校司書と教員のサポート次第では勉強の場になり得ることを、生徒自身はもとより保護者や学内教員にも認識を改めてもらう契機になり得る。また、非行の防止という副次的な効果も考えられる。

 

 

⇒全科目の科目終末試験を終えた今、振り返ってみるとこの科目終末試験の難易度がかなり高いことに気付いた。テキストには全く記載のない私見を展開した。成績通知で秀100点には聊か驚いた。

 

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司書:図書館概論(科目終末試験)〔司書15〕

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今日は私が受講した年度の「図書館概論」科目終末試験について書いていきます。

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<設題>

「中小都市における公共図書館の運営」(中小レポート)が刊行され、どのような影響があったのか説明しなさい。

 

<答案>

1.はじめに

 本稿では、「中小都市における公共図書館の運営」(以下、「中小レポート」)について、その概要と影響について述べる。

 

2.「中小レポート」の概要について

 戦後、1950年に図書館法が公布され、具体的な図書館奉仕が明示された。しかし、1950年代の公共図書館界では、依然として戦前からの館内閲覧・整理作業および保存中心の図書館活動が継続されていた。そのような状況下、日本図書館協会は1960年から3年間、国庫補助を受けて人口5~20万人の中小都市に設置された71の図書館の実態を調査し、中小公共図書館の方向性や目標を示そうと試みた。そして、この成果が1963年に「中小レポート」として刊行された。

 「中小レポート」では、中小公共図書館の現状を以下のように指摘した。

・図書館の数が少なく、1市に1館しかない。

・職員が少なく、それ以上に資料費が少ない。

・比較的よい図書館と、貧弱な図書館との開きが大きい。

・図書館の規模は市の規模の大小は関係がない。

・中小公共図書館と府県立図書館の機能が分けられていない。

そして、公共図書館の本質的な機能とは、「資料を求めるあらゆる人々やグループに対して、効果的にかつ無料で提供するとともに、住民の資料要求を増大させる」こととした。さらに、公共図書館の最も優先すべき機能は貸出であり、資料の館内利用のほかに、館外利用の重要性を指摘した。館外奉仕の方法としては、分館・貸出文庫・移動図書館の3つを推奨した。「中小レポート」では、地域住民にとって身近な市区町村の図書館こそ、図書館奉仕に重要な役割を果たし、その意義を持つと結論を述べている。

 

3.「中小レポート」の影響について

 ここからは、「中小レポート」が与えた影響について述べる。

 

3-1.日野市立図書館の誕生

 1965年9月、日野市で図書館サービスが開始された。図書館という建物を持たずに、1台の移動図書館「ひまわり号」によって市内をくまなく巡回して個人貸出を行った。この移動図書館は、半年間で65,537冊の貸出実績というめざましい成果を挙げた。このように「館外奉仕の重視」・「貸出重視」という方針を実践した日野の成果は、「中小レポート」の正しさを立証するものであり、日野の試みはまさしく「中小レポート」の影響を受けたものであった。そして、この事例は図書館界に刺激を与え、日本図書館協会は日野の実践を普遍化すべく、公共図書館振興プロジェクトを企画し、先進的図書館の事例を報告する研究会等を開催した。そして、1970年に『市民の図書館』としてまとめられた。

 

3-2.『市民の図書館』の刊行

 日本図書館協会によって刊行された『市民の図書館』では、当面の最重要目標として次の事項を挙げている。

・市民の求める図書を自由に気楽に貸し出すこと

・児童の読書要求にこたえ、徹底して児童サービスをすること

・あらゆる人々に図書を貸出し、図書館を市民の身近に置くために、全域にサービス網をはりめぐらすこと

そして、最重要目標の「貸出、児童サービス、全域サービス、この3つを重点にすることは、(中略)図書館の基礎を固め絶望的に見える現状を脱して、発展への足場を固めることである」と記載している。同書では、「中小レポート」が提示した図書館の方向性を実践しているいくつかの図書館の活動を報告しており、戦前の図書館奉仕から脱却していく際に「中小レポート」がひとつの大きな起点になっていることが理解される。

 

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司書:図書・図書館史(科目終末試験)〔司書14〕

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<設題>

図書館の敵とは何か、思うところを述べてください。

 

<答案>

図書館の敵として、火災・震災・戦災などが挙げられる。本稿では、日本の図書館史のなかで発生した火災等による事例を述べつつ、これら図書館の敵についてどのような対策を講じていくべきかについても考察する。

 

1つ目の敵は、火災である。たとえば、平安後期の大江匡房(1041-1111)によって創設された大江文庫は、大火で灰燼に帰した。また、鎌倉幕府の初代問注所執事であった三善康信による半官半民の名越文庫があるが、1208年1月16日にこちらも火災により焼失している。さらに、江戸時代の医家であった板坂ト斎が開設した浅草文庫は江戸時代最初の公開図書館と言われていたが、1657年の明暦の大火によって焼失している。

なお、鎌倉時代北条実時によって設けられた金沢文庫は、称名寺の境内の別棟となっていた。すなわち、称名寺と文庫が谷ひとつ隔ててトンネルで結ばれており、火災の類焼を免れる目的が計算されていた。

 

2つ目の敵は、震災である。震災は、地震大国日本では避けることのできない難敵である。たとえば、紀伊徳川家に分与された本をもとにして成立した紀伊藩の南葵文庫は、1923年の関東大震災によってその全蔵書が壊滅的打撃を受けた。

 

3つ目の敵として、戦災がある。たとえば、平安後期の公卿:藤原頼長(1120-1156)は蔵書家で、私設の文庫を持っていたが、保元の乱によって焼失している。そして、応仁・文明の乱(1467-1477)では、長期にわたる戦乱によって古来伝承されてきた多くの貴重な資料を失うことになった。徳川家康がこの状況を歎き、広く内外の書籍を購求し、富士見亭文庫(のちの紅葉山文庫)が江戸城内に設けられた。また、駿河御譲り本が水戸藩主に移譲されたことにより開設された彰考館文庫は、昭和20年8月の水戸空襲により多くの資料が焼失した。

 

以上のように、火災や戦災といった図書館の敵は、図書館自身が対策を講じることで被害を最小限に抑えることができるだろう。たとえば、冷泉家文庫や陽明文庫のように、貴重書の影印本を刊行しておくことで、万が一に原本が失われた場合にも、私たちは複製によってその内容を確認することができる。また、近年では国立国会図書館が行っているように、資料をデジタルデータ化してアーカイブとして保管することも有効な対策の1つであると考える。

さらに、書架に転倒防止の設備を施すことや、これから建設する図書館を免震構造のものにする等、地震への備えも忘れないようにしたい。もちろん、図書館員ひとりひとりの火災や震災への備え(訓練・心構え)なども日々の業務の中で取り組むべき事柄である。資料の焼失・散逸を防止することは図書館の基本的な使命であり、万が一に備えて各々の知恵を絞り、有効かつ具体的な対策を講じておくべきであると考える。

 

<諸注意・免責事項> ※必ずお読みください

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司書:図書館サービス概論(科目終末試験)〔司書13〕

こんにちは!

今日は私が受講した年度の「図書館サービス概論」科目終末試験について書いていきます。

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<設題>

戦後の図書館サービスの変遷について説明してください。

 

<答案>

 本稿では、戦後、図書館法制定(1950年)以降の図書館サービスの変遷について述べる。

 

1.図書館サービスの模索期(1945年-1960年)について

 1950年に図書館法が制定され、図書館の無料の原則が打ち出された。また、GHQの示唆により様々な図書館サービスが提示されたが、この時期に普及していったもののひとつに開架式と閲覧方式がある。戦前は保管を重視したため、閉架式が一般的であったのだ。また、ブックモビルが登場し、多くの資料を積載したマイクロバス型の車が図書館員とともに定期的にサービス場所を巡回した。さらに戦時中の反省から図書館の中立性が議論され、1954年に「図書館の自由に関する宣言」が採択され、「図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る」としている。図書館にとって普遍的な内容であり、様々な議論の基盤となっている。

 

2.「中小レポート」から『市民の図書館』へ(1960年代)

 1960年代は日本の公共図書館サービスの方向性が定められた時期である。日本図書館協会が1963年に調査報告書として『中小都市における公共図書館の運営』(以下、「中小レポート」)を刊行し、住民への資料提供を重視し、そのためにも身近で通える中小図書館が機能することが重要であると述べた。その後、日野市立図書館(東京都)によるブックモビルから始めた貸出増大の事例によって「中小レポート」の正しさが実証されていった。そして、日本図書館協会は日野市立図書館などの実践成果を全国的に展開すべく、1970年に『市民の図書館』を刊行した。同書は、サービスの重点目標として、①貸出、②児童サービス、③全域サービスという3点を挙げている。これら「中小レポート」と『市民の図書館』は、公共図書館サービスの方向性について、具体的に提示した点で画期的なものであり、その方向性は現在でも公共図書館の基盤をなしている。

 

3.図書館サービスの発展・拡充期(1970年代)

 先述の『市民の図書館』による3つの重点目標の達成を目指して、当時の文部省が図書館建設補助金を大幅に増額する等、公共図書館が急速に発展していった。また、この時期には視覚障害者へのサービスも本格化した。1960年代から対面朗読や録音図書の作成が公共図書館で行われるようになり、1974年には「障害者への図書館サービス」分科会が発足した。なお、図書抜き取り放置事件などの問題が発生し、改めて図書館や図書館員の在り方が議論され、1980年には「図書館員の倫理綱領」が自主的規範として日本図書館協会の定期総会で採択された。

 

4.図書館サービスの機械化の時代(1980年代)

 1970年代に続いて図書館サービスが拡充しており、貸出冊数が伸びていった。その背景には、図書館サービスの機械化・コンピュータ化の進展により省力化が進んだことがある。コンピュータ目録の導入などにより、カードを探したり記入したりする手間が省けて、簡単に資料の所在を確認したり、貸出手続きができるようになったのである。

 

5.図書館サービスのネットワーク化の時代(1990年代)

 この時期の特徴はネットワーク化の進展である。1990年代には県立図書館を中心とする県域ネットワークの形成で利便性が増していった。また、図書館の資源共有を推進するために広域利用制度が導入されたり、開館日や開館時間を拡大したりして、図書館サービスはさらに利用されるようになった。

 しかし一方で、公共図書館の資料費の減少が1990年代後半から始まっていき、職員についても臨時職員や非常勤職員の割合が増加した。また、1997年には、図書館建設補助金が廃止される等の変革があった。

 なお、1990年代中ごろからインターネットが一般にも普及していき、オンラインデータベースなど図書館外に蓄積されたデータから利用者のニーズに合う情報を検索して提供できるようになり、「情報へのアクセス」というかたちで提供できる情報が格段に増した。同時に、ホームページを作成する図書館も増え、OPACや利用案内をウェブ上に公開して利用者にとってさらに使いやすいものになっていった。

 

6.図書館サービスのハイブリッド(混成)化の時代(2000年代)

 通信技術やコンピュータ技術の発展により、図書館サービスの在り方が展開していった。図書館ホームページや電子メールの活用等により図書館サービスが、「開館時間内に図書館内で行われるもの」から「使いたいときに使いたいところで使うことができるシステム」へと拡充しつつある。さらに、「来館したりインターネット環境で図書館サイトにアクセスしたりして使うサービス」から「図書館側から発信するサービス」も多様に展開している。

 このように図書館サービスが便利になり、利用者がセルフサービスでできることが増えて、図書館員の専門性が見えにくくなってきている。従来主流であった使い方以外に多様な使い方ができるようになった点で、ハイブリッド型の図書館サービスが増えつつあると言える。これからの図書館員は、従来の閲覧・貸出・リクエストサービス等のサービスを推進しつつ、新たなサービス(たとえば、地域住民や行政・学習等に貢献するサービス等)の導入可能性も探っていく姿勢が求められている。

 

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